Ginny

サイコのGinnyのネタバレレビュー・内容・結末

サイコ(1960年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

初ヒッチコック。面白かった!

見る前に怖いときいたし『サイコ』というタイトルだけで怯えてましたけど 怖さが何かの存在、ある展開にだけ起因するものでなく全編を通して カメラワーク、音楽、役者の表情の演技等見せ方で作られていて 心地よく楽しめる怖さでバランス良し。映画というエンターテイメントであったと感じました。

どんな始まり方なんだ?と身構えたこちら側を冒頭なんともない男女の会話で肩透かし。でもどんどん不安のスパイスがちりばめられていく。何があるんだろ?何が起こるんだろ?見ながら疑う自分は画面から目が離せずどんどん引き込まれていきました。

ジャケットにもうつる女性が モーテルにたどり着くまで。大雨でフロントガラスが見えないくらい、恐怖がましたところに モーテルのネオンがようやく形見える。見事な場面転換で舞台替え。安心しただろう女性とは裏腹に、見ている側は ここで何か起きるなとかんづく。
甘い話には罠がある、やけに好青年なモーテルの主人と世間話。

このノーマンという男性が やばい。
会話中の表情が やばい。
語彙力がなくて 申し訳ないけれど 見たらわかるやばさ。あ、やばいのに引っかかったな。と。そしてそのあとは想像通りといえば想像通りの展開を踏むけれど ちょいちょい ん?これは?という謎が残されて 引き続き映画に引き込まれていきました。

謎すぎたら訳わからんってなるので
私にとっては良い塩梅でした。

怖い映画では 絶対に1人で無謀な行動はとってはいけないのに どんどんフラグを立てて 殺される展開には笑っちゃいました。
見事すぎました。

起承転結がしっかりしていて
オチ自体も私は とても興味深く 一層映画への評価が高まりました。
辻村深月の『子どもたちは夜と遊ぶ』でも同様の精神異常ケースが見られます。何回も読んでますが いまいち本だけではピンと来ていなかったものを映像で見て なるほど、こういうものがあるのか、と繋がりました。思わぬところで繋がり、名作の素晴らしさに感動しました。

ジャケットの女性は早めにいなくなるけれど 妹と不倫相手が奔走し 姉を探すということで大きくかけ離れず 展開を変えていくことで飽きずに見れました。視点が変わりながらも 流れる怖さは変わらず存在し続ける その演出は凄いと思います。

鏡の使い方、登場人物の動き、振り返り、など 色んなやり方でビクビクさせ、どれか一つを延々と繰り返すわけではなくバランスが良かった。

見終わったあと ある種の爽快感すらあり。ノーマンのキチガイさがたまらないですね。

これを もっと見てる人にあと引かせる演出もあったろうに それをせずに映画を見ている時だけ恐怖感を与える、というシンプルにミニマムに凝縮させた様が凄い手腕だなと感激ですよ!

帰り道とか、その後の生活まで怖がらせるのはやり過ぎなの!!!!
この映画を見て 人間不信になった とかまでいったら それは作る側のやりすぎ。
悪趣味。
見終わった後に なーんだってなるくらい、日常を普通に過ごしていける、でも、ひとつまみくらい『サイコ』の後味が残る。
何気なく過ごして 愛想の良い人と親しくなり 本当にやばいサイコパスに引っかかって最期の瞬間を迎える時この映画を思い出すんじゃないでしょうかね。それくらいさりげなく かつ ずっと印象に残る感じ。
Ginny

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