Ren

サウスパーク/無修正映画版のRenのレビュー・感想・評価

3.5
こんな映画ばかりになったら世界は終わりだけど、こんな映画があってもいい。サウスパークがどんなコンテンツかは知っていたけどいざ本編を観るとますます可笑しくなってしまう。

R指定カナダ映画に触発された子どもたちの暴走が手に負えなくなった大人たちが、カナダに全面戦争をふっかける。
解像度の低いタッチに愛らしいキャラクターデザインにミュージカルの体裁で、Fワードと放送禁止用語とグロが毎分やってくる。『Happy Tree Friends』のように露悪趣味が第一目標のコンテンツであることは間違いないので、それを長編として串刺すには「表現の自由・検閲」というテーマしか考えられない。正解だと思う。規制がかけられる側のコンテンツが表現規制戦争を描くというウロボロス的発想。

製作陣、心臓が剛毛の人間しかいない。
当時余裕で存命だった権力者を実名顔出しでおちょくりまくる。自分たちのやりたいことに少しでも圧をあける側の「上」の人間は、問答無用で揶揄の対象になる。ここまでくれば気持ち良い(流石にヒトラーとガンジーを同列視するのは論理が無さすぎる気もしたが...)。

権力者側(子どもたちに対する大人たち)が力を誇示することこそが歴史上のあらゆる戦争の始まりなので、おバカカリカチュアだとしても一応芯は食っている。その上から更なる権力者が出てくるのも滑稽だ。

本来ならサウスパークがいじる対象であるはずの賞(=権威)に認められたのが皮肉だ(全部カナダのせいにする最低プロパガンダソング『Blame Canada』がアカデミー歌曲賞ノミネート)。作品側からしたら皮肉でオスカー側からしたら悪ふざけという、そんなに良くないことが起きていた気は正直する。
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