ぬーたん

暗殺の森のぬーたんのレビュー・感想・評価

暗殺の森(1970年製作の映画)
3.8
トランティニャン②ベルナルド・ベルトリッチ作品。脚本と監督、わずか28歳でこのお洒落な映画を作った!当然、傑作…なのだろう。私は修業が足りぬようだ。映画としてはカメラや色使い会話とお洒落で芸術的で、ファシズムに傾倒していく青年の光と闇を描いていて、その心情の描き方も上手い。
主演のマルチェロをトラティニャンだニャン!『男と女』から4年しか経ってないから、まだ37歳で若くてシュっとしてる。ジュテーム!でもこの役は、どうも好きになれない。少年時代のトラウマがきっかけと思われるファシズムへの傾倒。いや、その辺りの気持ちも良く理解は出来ないで観てた。勉強不足。観ていてさほど繋がらないため、ラストの叫びも私には刺さらず、だった。
奥さんジュリアをステファニア・サンドレッリ。舌噛みそうな名前。23歳位。さほど綺麗ではないが色気あり。大胆なシーンもあって、胸大きいよ。私生活では19歳で子供を産んでいるシングルマザー。
クアドリ教授の奥さんアンナにドミニク・サンダ。まだ22歳位。若くて美しい。私生活では16歳で結婚18歳で離婚と10代でもう経験豊富!そのせいかかなりクールで大人びている。72歳の現在も綺麗。バレエを教えてるレオタード姿が色っぽく、その後のマルチェロとのシーンがまたエロい。
ジャケットの2人の女性のダンスはどんなシーンなんだろう?と思っていたが、妖艶なタンゴ、ラストはまさかのみんなでお手手を繋いで楽しくダンスして、店の外まで出て、もう”友達の輪!”って感じ。道理で周囲の人たちの表情が笑っているわけだ。この女性2人、なかなかのツワモノ。二股掛けてるマルちゃんより、この若い2人の女の方がかなりウワテではないかと。レズっぽいシーンもあり、もう三角だか四角だかこんがらがって。予想だにしない展開のエロティズムに圧倒されて、ファシズムなんて何処へやら。
そんな戯言を垂れているうちに、森へ。暗い森へ。『暗殺の森』ってタイトルだから暗殺するんだなって子供でも分かっちゃう。
原題は『Il conformista』どういう意味かはイタリア語で分からんが、多分暗殺の森ではないね。でも『暗殺の森』ってかっこいいタイトルだから良しかな。
そこからはマフィア映画のように。圧巻はアンナが車の窓を叩く、その時の2人の顔。いやいや、上手いねえ。
監視役のマンガニエーロがまたマフィアのような怖い風貌で。でも彼のその後のセリフが良いの‥。
数年後のシーン。これがあまり理解出来ず。後でやっとそうだったのか、とは思えたが、白髪の男は分かるが盲目の彼への言動が今一つ分からない。
時代に翻弄された、というよりは流されやすく自分のない主人公が自分自身に失望してるような感じだった。
私ごときが”ニャン”とか言ってるヤツが理解し切れない高尚な作品のよう。やっぱり映画修行が足りぬわい、と思い近々もう一度観ようと思ったニャン。
お次はここから62年後のトラティニャンを観たいと思うニャンニャン。
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