滝和也

ザブングル グラフィティの滝和也のレビュー・感想・評価

ザブングル グラフィティ(1983年製作の映画)
3.5
80s傑作選でいいのかな?

言わないと誰もわからない、若い方には特に、戦闘メカザブングルの映画版です。制作はサンライズ、監督さんはガンダムの富野由悠季。当時ガンダム、イデオンと来てまさに時代の旗頭。エヴァの庵野さん以上の人気でした。土曜日の夕方5時半と言えばサンライズアニメの時間。ザブングル、ダンバイン、エルガイム、Z、ZZ、ドラグナーと続きました。スパロボをやる方にはご理解頂けるように、リアルロボット路線は一時代を築きます。ザブングルはその中でも映画化された珍しい作品。こちらも劇場で見てます。

皆殺しの富野の異名を持つ監督さんですが、これだけは違います。とにかくキャラのバイタリティーが凄く、前向きであたかも生命の賛歌であるような作品。前がイデオンだけに、明確なアンチテーゼをたたきつけてきました。

惑星ゾラにはシビリアンとイノセントと呼ばれる種族があり、イノセントは聖域のドームに住み、シビリアンを支配しています。シビリアンはブルーストーンを掘り、運び屋がイノセントに上納することで機械や文明の利器を渡され生活してます。シビリアンの世界はまるで西部開拓時代のようですが、馬の変わりにウォーカーマシン、鉄道の変わりにランドシップを使います。彼らには掟が唯一あり、何をしても3日逃げ切れば許される、忘れなけりゃいけないと言う3日の掟が。

このルールが秀逸でした。文明人はこだわりがあるから文明人なんです。このルールを無視し突っ走り始めるのが主人公ジロン・アモス。顔はまん丸、目はネジ目、ドまんじゅうの仇名さながら二枚目ではないが、とにかくこだわるし、パワフル。ザブングル、ギャリアを駆り、周りの人間全てを引き釣り、遂に支配者イノセントの悪玉を倒すと言う痛快なお話。お話もギャグ調で動きで笑わせてくれる、カリオストロのルパンの動きを思って頂ければぴったりです。富野さんはタツノコプロとも関連があり、タイムボカンシリーズの様なコミック調の動かすアニメを作り出しました。出てくるキャラが皆さん一癖あり、グラフティと呼べますね。ただ映画版はツギハギなのでデキは良くないかもです。ちなみに50話見てからでないと面白くないかも。

メカについても重機の延長、パトレイバーのレイバーに近く、人形はザブングルシリーズのみ。ガソリンで動き、ハンドル操作と言うセンスが抜群でした。ギャリアと言う二代目主人公メカが大好きでしたね。

まあ富野アニメで1番笑える作品なんでわかる方のみ、分かっていただければ幸いです。

追記、これ田舎で上映されたのですがいつもはポルノしかやらない映画館でしかも映画館の屋上に掘っ立て小屋のようにあった映画館で見ました…。怖いなと思ってました…。
滝和也

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