まちゃん

トータル・リコールのまちゃんのレビュー・感想・評価

トータル・リコール(1990年製作の映画)
4.0
人類が火星に進出した近未来、ダグラス・クエイドは地球で美しい妻と幸せな生活を送っていた。しかし、何故か現状を物足りなく感じている。ある日、トータル・リコール社の旅行の記憶を売るという不思議な広告が目に入る。強く惹かれるものを感じたダグはトータル・リコール社へ行き、秘密諜報員として火星へ旅行するというコースを選択するのだった…。記憶とはその人のアイデンティティそのものだ。もし自分の記憶が人為的に書き換えられたものだったらと考えるだけでも恐ろしい。このフィリップ・K・ディックのテーマを上手くサスペンスとして活かし映画化している。平和な日常から謎を孕んだ巨大な陰謀に巻き込まれていく展開はヒッチコックの作風を思い出して引きつけられた。もちろんそこは全盛期のシュワルツェネッガー、ジョークやアクション満載でエンタメとして純粋に楽しめる。鼻から発信機を取り出す場面、女性の顔が真っ二つに割れて中からダグが姿を現す場面などVFXを使用した印象的なシーンも多く、監督のポール・ヴァーホーヴェンの独特なセンスが光る。どこかレトロな近未来の風景も味わい深い。シュワルツェネッガーの代表的な傑作だ。
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