すずき

トータル・リコールのすずきのレビュー・感想・評価

トータル・リコール(1990年製作の映画)
4.4
未来の地球。
火星は地球の植民地であり、火星に暮らす人々はコーヘイゲン提督の圧政に日々苦しんでいた。
地球で暮らすダグは、何故か毎晩火星の夢を見ていた。
火星に憧れ、そこに引っ越そうと考えるダグだが、暴動が起きている火星の治安を案じる妻には反対されていた。
そこで、彼は旅行の「記憶」を売るリコール社にて火星への脳内旅行を楽しむ事に。
しかし、彼は記憶植え付け手術の直前に、何かを思い出したかのように暴走する。
リコール社は、彼は火星にいた記憶を何らかの理由で当局に消されたのでは、と推測。
トラブルを防ぐ為に彼の記憶を再び消去し家に帰すが、彼は謎の男達の襲撃を受ける…

ディックの原作、ヴァーホーベン監督、シュワルツネッガーの主演によるSF映画。
ヴァーホーベンらしい閉塞感ある未来とグロ描写、シュワルツネッガーらしいパワフルアクションと大破壊!
そして、ディックらしいアイデンティティーと世界そのものが崩壊していくような、所謂「ディック感覚」が共存している名作です。

火星にいた頃の自分を忘れている主人公は、言わば「本当の自分」とは別の人格。
「本当の自分」が信じられなくなるような、後半の展開も面白かった。
しかし、中盤の今生きていると信じるこの世界こそ夢である、と宣告される中盤の展開が最もショッキング。
「マトリックス」とかの仮想現実モノにも影響与えてるのかな。
この世界は夢である、というのは現実世界でも否定出来ない。
映画も、最後までその可能性を否定出来ないまま終わる。
尚、日本版VHSでは、日本版スタッフの手により、「夢から目覚めるシーン」を本編映像の加工により無理矢理デッチ上げてるそうな。(Wikipedia調べ)
エエんかそんな事して?監督の許可取ってんのか?色々台無しじゃないか。

設定が寺沢武一の漫画「コブラ」の第一話と瓜二つなのは偶然?
コブラも、平凡な男が宇宙海賊になる夢を買ったら、実は自分は記憶を消された宇宙海賊だった事を思い出す、という導入。