もるがな

おおかみこどもの雨と雪のもるがなのレビュー・感想・評価

おおかみこどもの雨と雪(2012年製作の映画)
3.2
出産時のつわりの吐き気連発やら、子供の手で家具がどんどんボロボロになっていく様は凄くリアル。あと雨と雪の登校シーンでの分かれ道の暗示的な演出も上手い。細部細部はリアルなんだけど、肝心のファンタジー部分が超人然としてて全然受け付けない。

特に母親がどう贔屓目に見ても超人なのがなあ。母性に対して人間味を感じなかったのは斬新といえば斬新なのかもしれない。あと過剰なまでの自然主義もちょっとキツい。話は全体的に流されに流され抜いた感じ。狼と人間に映画そのものが壁を作っていたかのような違和感がある。和解は求めないけどこれはちょっと。

裏を返せばこれは凄く寂しい映画なのかもしれない。そういう意味では面白いけど、大人としてこういう形を提示するのには少し抵抗がある。これはもう感覚の違いとしか言えない。大人になるということの残酷過ぎる部分を的確に捉えた映画と思えば、もう少し評価は上がります。ファンタジー部分が受けつけないと書いたけれど、ファンタジーでなかったら観れなかった作品なのかもしれんな。作り手とのすれ違いを感じた。
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