もるがな

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミーのもるがなのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

特級呪物をドラッグのように使うという発想は狂ってて面白いものの、作風もとい印象はやはり良くも悪くもA24らしいなという感じで、呪物トリップという突拍子もないネタのような面白さがあるのに変に意識が高かったり、差し込まれるメタファーがいちいち洒落臭い。

見てて思ったのが、恐らく自分は超常的な怪異と人間側の対処による両者のせめぎ合いやそれが通じない絶望感にホラーの醍醐味を見出す類の人種であり、起こった物事がただひたすらに緩やかに悪化していく様を見せつけられることにはあまり面白みを感じないのだ。

とはいえ、その人間関係の希薄さの描き方は一級品であり、SNSの弱い繋がりの描写はひたすらにリアルで、こういう出来事が実際に起こったら劇的なドラマは何もなく、誰でもあんな風になるんだろうなという納得はある。そんな共感性周知を刺激されるという意味では確かに怖い作品かもしれない。

母親の死因は恐らく統合失調症だと思われるが、ドラッギーなODの症状など、それらを引っくるめた自他の境界の消失を特級呪物扱いにしてメタファーとして消費することには凄く抵抗感がある。そんな見せ方より、取り憑かれて死んだら身体丸ごと奪われるという設定を生かして、被害に遭った弟が襲ってきたほうがより人が悪くて絶望的だったなと思った。もう少し下世話な話だったほうが個人的には好み。ただ、オチは良かったように思う。
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