彦次郎

儀式の彦次郎のレビュー・感想・評価

儀式(1971年製作の映画)
3.8
男尊女卑が強烈な家長制度の崩壊を儀式と一族を通して描いたドラマ。
話の内容は異なりますが時間軸と日本の封建制度と近親相姦ついては手塚治虫先生の「奇子」に似ている気もします。
話は満州国崩壊と共に母子で帰ってきたマスオさんの幼年時代から始まるのですが、土に耳を当てたり野球幻想辺りはファンタジック、祖父が伯母を嬲る辺りはエロ、従兄弟が弟のタダシに日本刀の指導を入れる辺りはバイオレンス、主要人物が日本刀で大木にぶっ刺される辺りはミステリー、マスオの1人婚礼初夜はブラックコメディなどなど掴みどころがありません。
全体的には陰鬱な画面とマスオさんの暗い独白、眉剃りの美女たち、武満先生の音楽によりホラー的ですらあります。日本各地にこのような一族がいて脈々と儀式が続いていた事に対する日本の暗部を提起していたのでしょうか。
個人的には幼年時代からマスオさんにケチをつけ少年時代は酒飲んで殺人衝動に駆られ成人してからは国家に盲信する警察官と化す狂的極まるタダシの鮮烈な生涯が印象的でした。
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