ろ

素晴らしき哉、人生!のろのレビュー・感想・評価

素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)
5.0
「自殺でみんな幸福になると思うか?」


クリスマス映画を観よう 第6弾


「この小さな町を出て、世界を旅する。そして空港や超高層ビル、長い橋を作るんだ」
主人公ジョージは大きな夢を抱いていた。
けれど、父親の急死により仕事の跡継ぎをすることに。家庭にも恵まれ、事業も成功しつつあったが、不運な出来事が降りかかる。そして彼はクリスマスの夜に自殺を図る・・・。


ジョージは会社の存続に尽力する。

新婚旅行に行く場面。
銀行の預金引き出し騒ぎに巻き込まれ、ジョージの会社も危うい状況に。そこで新婚旅行に使うはずのお金を人々に貸し出すことにする。

その夜、近所の空き家で待っていた奥さん。
蜘蛛の巣が張り、雨漏りする家に温かい明かりが灯る。
ジョージが夢見た外国のポスターが貼られ、南国の音楽が流れ、鳥の丸焼きがある。2人の影が窓に映り、雨の中歌う男2人。なんて素敵なカット!奥さんの思いやりにも涙が出る。



「一人の命は大勢の人生に影響しているんだ。一人いないだけで世界は一変する」
薬局屋のガウワーさん。
弟のハリー。
そして妻のメアリー。
みんなジョージがいない世界では不幸な人生を送っていた。

また、ジョージ自身も周りの人に支えられている。
ラスト、彼のもとにたくさんの人がやってくる場面。みんなジョージのために喜んでお金を寄付する。愛する子どもと妻に囲まれ、多くの人に慕われている。みんなの笑顔を見て、ジョージは幸せを嚙みしめる。



「友のある者は敗残者ではない」

私は人の悪意に傷ついて、うつ病になった。
人のことが信用出来なくて、友人の顔も見たくないと思った。
人が私のためを思ってしてくれていることも、相手の厚意を上手く汲み取れなくなった。
いつも笑いあった仲間が知らない人のように見えた。

けれど、私は人の善意で生かされている。
親も友人も、私の意見を尊重して、少しでも気持ちが楽になるようにしてくれている。その思いやりをもっと感じられるようになりたい。

敗残者と呼べるほど、私はまだ生きていないのだ。


ジョージは物語の中で生き続ける。
私も現実を精一杯生きよう。

いつか心から「素晴らしき哉、人生!」と思える日が来ることを願って・・・。
ろ