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風櫃(フンクイ)の少年のatyのネタバレレビュー・内容・結末

風櫃(フンクイ)の少年(1983年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

当時の澎湖と高雄の雰囲気がとても良い。田舎と都会の対比として描かれているけど、今から見るとどちらも大差なく見える。あと、澎湖のいくつかの画角が『風が踊る』と全く同じで、デジャブだった。

澎湖の田舎の家と、高雄での宿舎がどちらも、中間領域の豊かさが素晴らしかった。澎湖では、父親がいつも座っていた藤椅子がある場所、そこから一度中に入って左に曲がると出られる屋外ダイニングと洗面台。人が過ごす場所がガラスに囲まれていないことの気持ちよさったら。
高雄では、一階に扉がなく、バイクで内部まで乗り込んでから停車して、共用階段を登った先に、また中庭を見る。憧れの女の人が住む部屋と、男3人が住む部屋は、中庭を介して音と視線が繋がっており、お互いの様子が垣間見える。廊下に勉強机を置くあたりもたまらん。そこで手紙を書くシーンの美しさ。
建築空間の魅力を映像とシナリオに落とし込んだ良作。

でも、中学生みたいなレベルの男同士のノリが結構苦手で、すぐ肩や頭を叩いたり、ズボンを脱がそうとしたり、綺麗な女の子を見つけるたびに失礼めのちょっかいかけたりと、最初は彼らを全く好きになれなかった。ラストシーンに近づくにつれて、主人公が段々と他二人から離れようとする力を感じて、とても共感できた。それに呼応するように、二人も成長しているように感じた。
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