円柱野郎

スラムドッグ$ミリオネアの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

スラムドッグ$ミリオネア(2008年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

警察での取り調べで身の上を告白することが、ストーリーの進行とリンクして彼の運命的な結末へと観客を引っ張り込んでいく。この構成は上手かった。ただ出来過ぎな話の感じは強くて色んなところで強引さも感じるが…、良い意味ではスラムドッグの“生きることへのたくましさ”といった勢いの表現系になっていたのかな。まあ、実際に逞しいのは(善し悪しは別にして)兄貴の方だと思うけど。
前半はともかく中盤以降は主人公ジャマールの一直線なラティカ(初恋の相手)への想いで突っ走っていく。この辺が爽快さを感じる反面、あまりに盲目的なので「ちょっと冷静になれよ」と思わなくもないが、まあ、そこまで想い続ける主人公は嫌いじゃない。ラストには思い人も大金も手に入れた主人公だが、「D.運命だった」という答えはどこまでもファンタジーな爽快さだね。
しかし難を言うと、主人公の熱情にフォーカスしすぎていて兄貴の心情は今ひとつ見えない。最後にラティカを逃がすあたりなんて、自分の命をかけて弟とラティカの為に行動するんだから、もうちょっと心情を見えていればなあ。「三銃士」が引き合いになっているから「一人はみんなのために」ということ?と、してもね。
円柱野郎

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