アニマル泉

太陽の墓場のアニマル泉のレビュー・感想・評価

太陽の墓場(1960年製作の映画)
4.2
釜ヶ崎を舞台に闇商売で血や戸籍を売る愚連隊と暴力団の抗争を大島渚がディープに描く。シネスコカラー。撮影は川又昴。新人の炎加世子と佐々木功を主役に抜擢した。
通天閣、大阪城、ドヤ街、真っ赤な夕日。
大島の「赤」だ。血の映画である。
撮影は長回しでアップやタイトサイズでカメラを振りまくる。ドヤ街に充満する人々のエネルギーを逃すまいとするようだ。食堂の行って来いの長回しやタコ部屋の長回しが象徴的である。当時、松竹で小津安二郎などの巨匠に対抗して大島がセットで長回しを始めたという。
大島は剛腕だ。並外れた力強さである。集団のエネルギー、運動、爆発が大島印だ。本作のドヤ街の火事、手榴弾の爆発は圧巻である。この骨太感は今村昌平かポン・ジュノを彷彿とさせる。
佐々木功が中原功二を刺し殺す荒野の場面をワンカットで捕らえるロングショットが殺伐として素晴らしい。炎加世子を見つけて津川雅彦と佐々木功が走る、銃撃から線路での巻き添えの轢死、逃げる炎加世子を線路をまたいで追うロングのフォローショットも鮮烈だ。全編がタイトサイズの長回しが多いだけに意表を突くロングショットが美しい。
白衣の佐藤慶、松葉杖の戸浦六宏が怪しい。
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