シャトニーニ

007 スカイフォールのシャトニーニのレビュー・感想・評価

007 スカイフォール(2012年製作の映画)
4.3
シリーズ第23作!MI6や英国本土までをも巻き込むテロリストの陰謀、負傷して復帰すら危ぶまれていたボンドが立ち向かう!


メインテーマがアデル、主題歌に決まる前から我が父が気に入っていた歌手なので、父の審美眼はボンド並みだったのかもしれません。「ゴールドフィンガー」みたいなタイトルのシャウトがかっこいい
タイトルのスカイフォールが何かは観た人だけに知ってほしい、そのネーミングセンスが良すぎる。今までなかったサブタイトルですね。

前作から話は続いているようで相変わらずクレイグボンド、逃げたターゲットを追いかけ、しかもそのままタイトルに突入するショッキングな序盤。オープニングアニメーションもイケてます

まさかの時の本部攻撃で地下基地に移ったMI6、ブロスナンボンドの時も地下鉄になってましたしさほど斬新ではないけれど、ボンドは風通しの良いオフィスより淀んだ空気のほうが似合うような。チャーチルも使った地下の秘密基地と聞いて、イギリスが有事の際に不屈の精神を見せたことをこの映画で思い出し、ドイツからのV2ロケットによる爆撃に耐え、勝利まで凌いだ姿が浮かびます。チャーチル演説「我々は陸でも空でも海でも〜戦い続ける」が、まるでボンドそのものですし

忙しすぎて主だったボンドガールがいない、という変わったボンド作品でもあります。否、誰が1番のボンドガールかは未見の方はまず見てからのお楽しみです。

バイクチェイス、列車アクションと思いきや重機アクション。通勤アクションにコモドアクション、そして終盤ボンド史上初の秘密基地防衛アクションへ。。。いつもアウェイなのでホームで戦うって意外です、ボンド版ホーム・アローンかよ!ただスコットランドのクソ田舎ですけどね。そういえばボンドはこの出身地のことを語りたがらないので、関東でいば群馬出身といったところ(群馬の人ごめんなさい)イギリスのグンマーなのか。赤城山おろしの下で鍛えられたんだろうか

終盤そんな実家でMと一緒に「田舎に泊まろう」みたいなことになってます。アルバート・フィニー演じるボンドの知り合いの家主爺ちゃんも登場。銃に火薬に、ボンド子供時代から何仕込んでんだ。ボンド家の墓や少年時代のエピソードまで出てくるので、クレイグ版ジェームズ・ボンド誕生の秘密まで迫ります。ビーストボンドが野に放たれたオリジンは、今作「スカイフォール」にあり!!

オープニングと中盤で活躍する準ボンドガールのイブ役はナオミ・ハリス、現場ではミスるし彼女が何者か知ってもさほど驚かなかった、ただ事務職にしては強すぎるし、うむ。
あと鍋に入れる素麺みたいな名前の国防委員長マロリーにレイフ・ファインズ。強力すぎて闇の魔術師になってメガネ少年をお辞儀させたりしないでしょうかね(ハリーポッターの敵役なので)

あとベン・ウィショー!ひみつ兵器担当が復活、若き発明家にしてサイバー戦もこなすQに一新された。オタクでインテリで、年上のボンドの皮肉に返す正論も一級品。将来が楽しみっすね

かれらを恐怖させる悪役シルヴァにハビエル・バルデム。前作「〜慰めの報酬」でマチューが出た時から、悪役にアカデミー賞(ノミネート含む)俳優を据えることが続いています。「ノーカントリー」での殺し屋シガー役とは違い、今作ではユーモアがありながら絶大な闇を抱えた元凄腕エージェントという、ボンドと紙一重な悪役というもの。あとちょっとオネエな気がする(?)元上司に対する歪んだ感情を持ち、組織が完璧すぎた矛盾から生まれた怪物キャラでした。やっぱヴィランが強い作品は名作

そしてなにより、本作で10数年のボンド映画のキャリアから降りることになったジュディ・デンチのM。年齢もあり現場に出ることは少ないながら「〜ワールドイズノットイナフ」での監禁時に工作してたように、策士としての本性があるようで、お前のようなババアがいるか〜、指先ひとつで数人倒すほどつおいし、あとボンドガールでないのにボンドカーにまで乗るし!youはShock!スカイフォールってそっちの意味?
あとMは任務と指令に冷徹ながら、つらいことを常にこらえ続ける女性でした。ボンドを心の底で信頼していたんだなと、わかる場面がいくつもあってほっこり。互いにいい距離感を保ち続けたのも、互いに傷付けあわないような優しさだったんでしょうね。

あと今作では懐かしのボンドカーまで登場。
ラストでの引き継ぎや、ボンドに渡されたもの、しみじみします。




長くなりすぎましたが、最後にアデルのメインテーマで締めましょう。007だけでなくMもシルヴァにも思えてくるこの歌詞は1番好きかもしれない

You may have my number
私の立ち場を奪うなら

You can take my name
この名もお召したまえ

But you'll never have my heart
ただこの魂だけは渡さない

Let the skyfall
天を墜とされ

When it crumbles
総てを崩されても

We will stand tall
我々は未だ立ち続けんことを