1944年の冬を忘れない
ナチスの占領下にあったフランス。カトリックの寄宿舎で学ぶ少年ジュリアンは転入生のボネが気になって仕方ない。自分より優秀だから。ある日ボネの秘密を知ってしまう。ボネは偽名を使っているユダヤ人だった。学校はユダヤ人の少年たちを匿っていた。ジュリアンはユダヤ人であることがナチスの前ではどういうことなのか、ボネの揺れる心と怯える瞳を通して事態を理解していく。ボネとジュリアンは互いを認めあい、大切な友人となるが、別れの日は突然やって来る。
ルイ・マル監督の自伝的作品。
音楽室で二人がピアノでジャズセッションするシーンがいい。
アメリカへの移民に希望を抱いていたボネ家族。
つねに何かに怯えていたボネが少年らしく輝いていられた大切な時間。ジュリアンの記憶に永遠に残された。
ゲシュタポの威圧的態度と遠くの空襲以外に戦争の怖さは表されず、少年たちは少年らしく伸びやかで、少年の目を通して戦争が描かれている。
裏切る者もまた皆から差別されていた。
今日のボクは昨日のボクではない。
昨日のボクはもういない。
「さよなら子供たち」
二度と戻らないボクたちの時間と友たち。
「蝶の舌」を思い出した。