あーや

鑑賞用男性のあーやのネタバレレビュー・内容・結末

鑑賞用男性(1960年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

※「恋の画集」と「観賞用男性」の2本立てのため多少重複します。

コメディ映画のおもしろさは、映画館で観るからこそ真の価値が判るのだと思います。たとえ1人で観に行っていても、周りに笑い声がすると思わずつられて笑ってしまうのです。

野村芳太郎のコメディってどんなんやろって思いながら見に行きました。なぜなら彼の作品で私が一番に思い出すのは「鬼畜」(とても怖い)その次に「ゼロの焦点」(程よく怖い)。清張作品を撮ってるイメージなんですよね。
それが「ゼロの焦点」と同じ1960年に「恋の画集」、その一年前に「観賞用男性」を撮っていたなんて!すごいギャップ!!!そして2作品ともとってもガーリーでラブリーなコメディ!この人の作品は清張作品以外にもスポットライトがあたるべきですね。発掘しないと!

「観賞用男性」は、当時本当にフランスから帰国したばかりの有馬稲子をデザイナー役に起用して、フランス被れのデザイナーが「男性も古臭い背広なんか着てないで新しいモードなファッションを身に纏うべきです!!」と斬新な男性ファッションを自分の親族の会社にゴリ押しで制服として規定させます。(魅力的な女性ファッションに対して、このユニフォームがあまりにも酷い出来!!ダッッッサイ!!!)

もうね、、、有馬稲子が信じられないほどかわいすぎて終始画面をうっとり見つめていました・・・。有馬稲子と言えば小津映画での「おとなしいお嬢さん」のイメージしか無くて、それがあまりに強かったのでこれまであまり興味を持てない女優さんだったのです・・。
能をテーマにデザインされた今の時代にも通用するモードファッションに、リズ(Elizabeth Taylor)のようなくっと下がった眉やはっきりとした涼し気な青い色のアイシャドウなどのメイクももちろん魅力的なのですが、もう何よりハキハキと快活に話しパタパタと動き回りモリモリご飯を食べる有馬稲子が元気いっぱいでかわいいいぃ・・♡♡♡はぁ。
そしてそんな彼女をじっと見つめていたい私の期待をわざと裏切るかのように、瞬く間に素早いテンポで変わってゆくシーンの連続・・。(さながら中平康や川島雄三のようなかなりのハイテンポ。全て見逃さないようになるべく瞬きを控えるほどのスピードなのです)
なぜ男性ファッションを刷新すべきという考えに至ったのかを有馬稲子本人がカメラ目線で語るファーストシーンでぽーっと見とれたのですが、同時に既にハートを射抜かれておりました。。なんともまぁお見事な美しさです!!!60年代のフランス映画にも劣らないlovelyな映画でした。ああ、既にもう一度見たい。有馬稲子に「好き」ってもうあと3回は囁いて欲しい。。

個人的に特筆しておきたいのは、両作品ともオープニングでアニメーションを使っています。「恋の画集」は最初の30秒だけで「観賞用男性」はガッツリと時間をかけてカラフルな色調です。どちらもお堅くない映画なんだなと思わせてくれる少しおマヌケなアニメーション。おかげでいい具合に力が抜けました。グラフィックを駆使せず、作家の手とセンスに任せたのだろうと感じるオープニングでした。