Melko

ウィズのMelkoのレビュー・感想・評価

ウィズ(1978年製作の映画)
3.6
ブラックパワー!!!!
オール黒人キャストで送る摩訶不思議なオズの魔法使いの世界。

オリジナルのオズは未見だけど、若かりしマイケルジャクソンが出てることもあり長いこと気になってた作品。
映画としては酷評されたらしいけど、キャストの歌はホンモノ。みんな揃って歌いまくり、上手い!
中でもやはりマイケルのスイートなカカシが、吊るされながら「You can’t win〜♪」と歌い上げるところは圧巻。
彼がジャクソン5からソロになり、Off the wallを発売する前年の公開。当時音楽キャリアに行き詰まっていたマイケルが、心のお姉さんと慕っていたダイアナロス、プロデューサー クインシージョーンズと出会い刺激されながら、まさになりふり構わず思い切り歌い上げている姿に、この後どんどん商業化し白人化していく事を思うと切なくなる。特に、エメラルドシティを目指してドロシーとカカシ2人で手を取り合い、黄色い鋪道を「Ease on down the road〜♪」と高らかに歌い揚々と歩くところは、グッとくる。。😢
ずっと吊るされていた木から降り、ワナワナ震えながら歩き出す仕草や、全身をフルに使って柔軟に踊りまくるところもマイケルらしさが見える。
脇を添えるブリキの人形とライオンの歌唱も素晴らしい。ブルージーなブリキ、ソウルフルなライオン。ブリキは心のない不器用な感じ、ライオンは怖がりながらも力強い感じが伝わってきたので、演技力も十分。
また、オズの世界が現実世界の地続きになっているのもあるのか、実際の遊園地や陸橋、立体駐車場がセットとしで使われ、何か妙にスケールが大きく見えたのも良かった。ドロシー、カカシ、ブリキで黄色い道を上がっていくところは爽快!
ただ途中で、絶妙に怪しげなギラついたお店も出てくるwith 怪しいダンサーズ笑
衣装も豪華、セットも完成度が高い。

そして、CGがまだまだ荒削りな時代ゆえ、人間がみなリアル。凄まじい数のエキストラダンサー、オズの真下で緑→赤→金と衣装を全員変えながら踊るところは、ダンサーの人数も相まって、ファッションショーのようで凄いし、終盤西の魔女を倒してからの、エキストラ全員黄色のビキニで踊りまくる場面は、女も男も黒人の引き締まった体がフルに映えてて圧巻。大勢でのダンス、合ってるようで微妙に合ってない動きも途中からどうでも良くなる人数。笑

ただ一方で、酷評された理由もわかる。
まず、ドロシーが…お世辞にも可愛いとは言えない見た目の、アフロでギョロ目のダイアナロス。設定は24歳。演じたロスは30代。このおばさんドロシーが、何故か終始ずっと泣きっぱなしの泣き虫ドロシー。
ラスト、どアップになりながらの号泣歌唱はもう「ええええぇ…」て感じ。。
さらにキャラのビジュアルが怖い。演じている人間の「らしさ」を残しながらリアルにメイクした結果、皆ものすごいおどろおどろしいビジュアルに…これは子どもには見せたら夢に出そう…
そして、歌唱・ダンスシーンの長さが堪える…歌いながら話を繋いでいってくれるのは良いのだけど、とにかく一曲一曲が長く、曲数も多い。これは舞台でちょうどいい感じなのでは…と思ったり。

とはいえ、一曲一曲が記憶に残るような名ナンバーだし、わかりやすいメッセージ「自分を信じる・人の前に出ることを恐れないこと」が印象に残るから映画としてはまあまあちゃんとしてるのでは。

ところで、黄色い壁や鋪道、階段、イエローキャブ(タクシー)など、ドロシー達が行く先々で黄色がよく出てきていたのだけど、あれって、黒人の肌を綺麗に見せる効果があるのだそうな。なるほど…!
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