茶一郎

ありふれた事件の茶一郎のレビュー・感想・評価

ありふれた事件(1992年製作の映画)
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『プロフェッショナル仕事の流儀〜殺し屋〜』

 カメラに向かって自分の『仕事』の流儀を話すのは殺し屋のベン。このベンへの殺しの様子やインタビューをモキュメンタリー方式で描く。
この映画のスゴイ点の一つは、この殺しの様子が本当にホンモノにしか見えない所。見せ方上手ーい。


 また、映画を動かすのはベンのカリスマ性と殺し屋とは思えない軽口。そのプロ意識も一周回ってカッコイイ。

 ベンは作り手たちの映画愛を象徴、というより『映画』を象徴するものになっているようで。特に印象的なのは、他の撮影者の記録媒体が『ビデオ』だと分かった途端にその撮影者を殺す瞬間。(ベンを撮っている記録媒体は『フィルム』)
この殺しはまさに『テレビ殺人』『ビデオ殺人』といってもいい。
酔って『♪シネマ〜シネマ〜俺がシネマだから〜』と歌う様子も印象的。


 どんどんと殺人をしていく様子にある種の爽快感と、それを感じることへの罪悪感をもつ。

今作のような犯人・事件は決して『ありふれた』ものではなく、そうであることを願いつつも
これは『ありふれていない事件』なわけです。
茶一郎

茶一郎