Ren

ありふれた事件のRenのレビュー・感想・評価

ありふれた事件(1992年製作の映画)
3.5
異常殺人者への密着を描いたモキュメンタリー。なんとも不思議な映画でした。

ストーリーは、男が金のために殺人を繰り返す、ただそれのみ。ドキュメンタリーの体で作られているので、映像内にはディレクターもカメラマンも音響も登場します。殺人犯と観客のあいだに “撮影クルー“ という存在を噛ますことで、臨場感はあるものの第三者視点で鑑賞でき、気が楽でした。

こういう異常犯の話って、なぜかずっと聞けてしまう。言い回しや到底理解できない彼なりの哲学がなぜか魅力的で、飽きが来なかったです。演技が素晴らしい。
そして何よりこの作品を異質なものに押し上げている大きな原因は、この殺人犯が撮影クルーまでも巻き込んでいく点でしょう。終盤になるとクルーも手際良く殺人の処理などを行なっており、ゾッとしてしまいます。正常なはずの人達が静かに、順当に狂っていく流れはなかなか興味深く、環境への慣れの怖さを感じました。

個人的には、パーティーで参加者全員ポカーン顔を見せるシーンが笑ってしまうほどシュールで好きです。

特に胸糞という訳ではなかったのですが、内蔵系のグロ描写だけはご遠慮いただきたい...。特に今後の人生で、この映画を見返したい!と思う日は来ないでしょう。
そしてタランティーノ、色んな映画絶賛しすぎ問題。
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