Sari

春のソナタのSariのネタバレレビュー・内容・結末

春のソナタ(1989年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

「四季の物語」シリーズの第1作目。
春のパリを舞台に、偶然出会った二人の女性が周囲の人々を巻き込んで織りなす恋愛心理を、ウィットに富んだ哲学的な会話劇で鮮やかに描き出す。

高校の哲学教師であるジャンヌは、あるパーティーで音楽学校の生徒ナターシャと知り合い、彼女の家に誘われる。
ナターシャの父親は、自分の娘ほどの歳の女性エーブと同棲していた。エーブのことが気に入らないナターシャは、知性的なジャンヌを父の恋人にしようと画策する。しかし、出会った彼らの関係は想像以上に複雑なっていく…。

ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ「春」や、劇中でナターシャがピアノで演奏するシューマンなどの音楽が、人物たちの心情を表すかのように印象的に使用されているのも特徴となっている。

この「四季の物語」シリーズは1989年〜1998年の約10年に渡り制作された。「喜劇と格言劇」シリーズのような瑞々しさに加え、ある種の凄みすら漂う奥深さが、撮影時69歳であったロメールの成熟を感じさせる。

セルジュ・ゲンズブール監督『ジュ・テーム・モア・ノン・プリュ』でジョー・ダレッサンドロの相方役だったユーグ・ケステルが、本作でナターシャの父親役で出演。

2022/08/11 名古屋シネマテーク
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