このレビューはネタバレを含みます
タイトルから「羊たちの沈黙」や「セブン」といったサイコサスペンスを彷彿とさせますが、実際はそのイメージとは異なります。
サイコサスペンスの皮を被ったコメディ風刺映画です。
主人公のベイトマンはウォール街に勤めるエリートビジネスマン。
ブランド物のスーツに高級レストランに細部までこだわった名刺も、全て自分という人間を大きく見せるためのツールであり、「その物自体」はどうでもいい。
自分を大きく見せたいが故に他人には関心がない。
自分がどうしたいかではなく、他人にどう見られたいか。主観ではなく客観。
本作に登場するほとんどの人間がそうです。物質的で上辺だけの争いを極端に馬鹿馬鹿しく繰り広げる。
「俺よりええ名刺持っとるやんけ、、、よし殺したろ」
ベイトマンの殺人動機も至極しょうもないもので、"殺人"という形で現代人の"しょうもなさ"を具現化しているのです。
他人に関心のない現代人だからこそ、ベイトマンがいくら殺人を犯そうと誰も気づかないし逮捕もされない。
20年前の映画ではありますが、現代社会においても通づるものがあり、おすすめです。