大前提として
私は北野映画の大ファンになり、
そこから北野武という人物にのめり込んだ男だ。
大好きな北野映画を観るのは
その作品に没入したい時が多い。
嫌なことやしんどいことを全部忘れて
北野映画に入り込んで
脳汁を大量に放出し、全身をリフレッシュすることができるからだ。
『首』
はそう言う意味では
北野映画ファンにはたまらない作品だ。
(少なくとも私には)
余計な描写を削りに削っているため
話のテンポも良く、ストーリーに没入しやすい。
そして名だたる名優たちの異常なほど大きな演技が、それに拍車をかける。
背が低いのに態度が大きい信長と
彼をはじめとした個性たっぷりのキャラクター、
北野的固定概念が全面に出された将軍たちの男色思考、
そらゃR15になるわと納得の暴力描写、
そしてキタノブルー。
没入しているからこそ
探さずとも目と脳に飛び込んでくる、
北野監督の「やりたいことやってやったぜ」が
とてつもなく気持ちがいい。
最高の作品。
敢えていうのならば、
個人的には、
とてつもなく張り詰めた緊張感に溢れたシーンと、その隙間にやってくるとてつもなく緩い会話シーンのメリハリ感が大好物だ。
その緩急がたまらなく好きだ。
もちろん『首』にもそんなシーンがいくつかあるのだが、
そんなシーンがあともう少しだけ多ければ、
私は映画が終わっても帰ることなく次の上映まで居残ったかもしれない。
敢えてわがままを言えば。