あなぐらむ

濡れた欲情 特出し21人のあなぐらむのレビュー・感想・評価

濡れた欲情 特出し21人(1974年製作の映画)
4.5
「一条さゆり 濡れた欲情」に続いてストリッパーを題材に、漂泊する、逃げる、移動し続ける人の魂を描き、神代のオハコとも言うべきスタイルの一作。スケコマシ青年を狂言回しに、片桐夕子と芹明香の不定形な関係に、お馴染み絵沢萠子や庄司三郎が好き勝手に動き回って痛快極まりない。

街頭演劇”はみだし劇場”の外波山文明がスケコマシ青年につきまとう仙人の様で、この男達に加え、全然締まらない庄司三郎(上条恒彦の木枯し紋二郎の曲が泣ける)の無様ぶりに比較される芹、片桐おんな達が連帯していく様の逞しさたるや。

全編を歌謡曲でコラージュする散文詩の様な仕上がりは、既に映画の枠外。
1971年のデビュー時には裸になる事さえ涙を流したという片桐夕子が、「さぁハイハイ!」とステージでお客相手にオープン(おじいさんに訊いてください)していく様に、女優度胸を感じたいへん感慨深い。
芹明香とは「(秘)極楽紅弁天」以来共演もあってやり易かったと思うが、二人ともキャリア絶頂期ではないか。姫田真佐久撮影がまさに縦横無尽。
旅ものの快作である。