カラスもカラス、これはとんだタヌキですわ。
つらい目にあわされて粛々と過ごしてきた人々が、奇妙な縁で結び合わされ一致団結して過去の影に立ち向かう。
邦画らしくハリウッドのような編集技術や映像効果はないけれど、脚本の巧みさはすごいものがある。
たしかにご都合展開もあるが、言われてみればきちんとヒントと伏線が仕込まれてて納得せざるを得ない。
どこかひとくせあるスレた役に定評のある阿部寛をはじめとして役者それぞれの持ち味が活かされている。演技力にも差があるが、むしろそれを活用してまさかこの人がこうはならないだろうというような観客を騙すためのトリックにもなっている。ここまで計算してあの人をそこへ当てたとしたら配役の仕方が非常に上手い。
やや長回しで間延びしたシーンはあるが、いい作品だった。