このレビューはネタバレを含みます
イリヤ・ナイシュラー監督はやっぱロックバンドやっててMV撮るのが高じてハードコアを撮った人なので、音楽のセンスが抜群に良いですね。
あとカットするときのタイミングが素晴らしくて無駄がない。あんまり急ぎすぎず、とはいえ間延びしない。
基本的にはジョン・ウィックのフィーリングに近いものの、主人公がただのお父ちゃんで弱々しく描かれているところが出色。
序盤は徹底的に情けないが、どうして強盗を殴らなかったのかの理由を語り始めるあたりから何か異常な人間であることがわかりはじめる。
強くたくましいアメリカ人なら普通は他人に誇りたがる兵役の経験を語りたがらないなど「ってことはまさか…言いたくても言えない部署の人……」という予想を見事に裏付けていく。
銃撃は非常に鮮やかだが、特にはじめの格闘シーンはまだ勘が戻っていないのかハッチも痛打をくらうシーンが多く、彼自身の長年のブランクへの説得力とリアリティがある。
コメディパートもセンスがめちゃくちゃ尖っており、自分が半殺しにした刺客をソファに集めて思い出話を語ってたらまとめて失血死してたシーンは爆笑。
今作もめちゃくちゃ良かった。イリヤ・ナイシュラーは天才。