deniz

ディパーテッドのdenizのレビュー・感想・評価

ディパーテッド(2006年製作の映画)
3.8
「警官になりたいのか。
警官に見られたいのか、どっちだ」

香港映画『インファナル・アフェア』のリメイク。
警察のネズミとしてアイルランド系マフィアに潜入する男と、そのアイルランド系マフィアのネズミとして警官となる男を軸としたお話。
主演ふたりが常に互いの存在を意識せざるを得ない状況ながら、なかなかリアルには出会わないのがいい。
携帯を介しての無言の会話が痺れた。
終盤にかけての推理合戦も堪らない。
観客も登場人物たちをも欺くどんでん返しが楽しく、話が進むほどに、それぞれ追い詰められ不安に駆られていく様子がハラハラさせられて、観てるこちらまで大変胃が痛い…。
黄金に輝くマサチューセッツ州会議事堂、手すりを走るねずみ、紙袋に詰められた牛乳とパンなど、情景の魅せ方が憎く、アイリッシュな音楽をバックに惹き込まれ続ける展開。
「ディパーテッド」="死者"の意味とのことで、タイトルとしていまいちピンとこないなぁと思っていたら、"自らを亡くした者たち"という考察をお見掛けしてようやく理解。
誰もが別人の仮面をつけて生きている、と"ネズミ"の上司であるディグナム巡査部長は言っていましたが、本気で自分を殺して生きる…って、とても…しんどい…。
マフィアのボスを演じるジャック・ニコルソンや前述のディグナム巡査長のマーク・ウォールバーグなど共演陣も見応え有り。
つい2度見返したくなる秀作サスペンスでした。
deniz

deniz