【一言で言うと】
「無知の“高望み”」
[あらすじ]
気の弱い労働者階級のホモの青年フランツは、偶然宝くじで大金を手にし、友人の紹介でブルジョワたちのゲイ・サークルに出入りする。そこで知り合った実業家の御曹司オイゲンと愛し合い、彼と同棲生活を始める...。
ストーリーは完膚なきまでに救いが無さすぎてそこまで好きではなかったが、正直メチャクチャ面白いですし、やはりそこに入り込ませる描写や演出が上手いせいか、観ていて全く飽きが来ない。
まぁ万人ウケするって言ったら嘘になるんだけど(^◇^;)...それでも冷徹なまでに徹底したリアリズム溢れる脚本といい、作品内に潜む“問題提起”というのがより痛烈にも生々しく、そして無情な印象を与えてくれましたね😔
とにかく階級という“格差”の描かれ方が余りにもリアル!!もうただただ観ていて苦痛だった!!😣
貧乏人から突如“成金”へと変わった挙句、富裕層の恋人に搾取されるだけされて、最終的にはボロ屑の如く野垂れ死ぬという悲壮感もだし、特にテーブルマナーがメチャクチャで、周りに“ちょ、お前マジか…(¬_¬;)”みたいにドン引きされてる主人公が不憫すぎて本当に観てられなかったです😅
...やっぱり“成金”と“金持ち”の違いって、間違いなく“教養”と“マナー”があるか無いかだと思う今日この頃。
大金を持って気が大きくなる人ほど、地に堕ちていくものですよね〜(ー ー;)...
それに全体的な構図といい、相変わらず映像面でのセンスの良さも秀逸で好きですし、それに加えテーマでもある同性愛の描き方の巧さ。近年よく見かけるLGBTQを“過剰に”尊重したようなのではなく、あたかも“ごく普通”の在り方としてスタンスを保っていたのが非常に素晴らしかった。
最近の映画はディズニーといい、やけに“多様性重視してますよ!!”感が前面に押し出された映画ばかりで辟易しているのでね😮💨...今作のようなあれくらいの“距離感”が本当は丁度いいのでは…って思います🤔
とにかく大金があろうが“階級”が比例されるとは限らない、“無知”な鴨は“利口”な獣に“食われる”という運命を見せつけられる一本でした。
全体的な世界観や場面設定といい、どこか寓話的な“創作感”が否めないが、その奥に内在する社会的“搾取”や性的マイノリティへの“偏見”をカバーする為に、あえて非現実的な要素を前面に押し出した手法はまさに見事と言ったところ。
ファスビンダー作品は今のところ2本しか観ておりませんが、やはり彼は“リアリティ”と“フィクション”の織り交ぜ方が巧みだからこそ評価されているのかな…など思ったり🤔
彼の作品群は気軽に観れるものではありませんが、映画好きと名乗るならば一度は観ておく事をオススメ致します🙇♂️
LGBTQを“特別視”しないあの描き方...先程にも言ったように、今の時代の映画もこういったような距離感を保てば良いのにって思います😔