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誰も知らないのJINのレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
4.5
最初から最後まで日常が淡々と、しかしえげつなく進行していく様はもうまるでホラー。
是枝裕和監督が巣鴨子供置き去り事件を題材に15年の構想の末、満を持して映像化したというだけあって、作品そのもののクオリティーは高かった。
一見ヘビーには見えないのに物凄くヘビーなのがこの映画の凄いところ。
そして何と言っても出て来る子供達が演技してるように見えないところが一番凄かった。
柳原優弥がカンヌで受賞したのも納得。
母親役のYOUの演技もまるで「素」で、そこがまた凄く腹立たしかった(笑)。
監督の演出がうまかったんやろうけど、それぐらいみんなが自然に見えた映画だったんで、観ていて自分の中に怒りの感情が沸々と湧き出てきたことからも既にこの映画にやられちゃったんやなと認めざるを得なかった。

家族のことだけでなく周りをとりまく大人達や社会のあり方っていうのも考えさせられた。
子供の目線で子供達の小さな世界が見事に描かれてる作品だと思う。
最後までモヤモヤが晴れなくて気分悪いところなんかは、自分の中ではある意味『ダンサー・イン・ザ・ダーク』的に残る映画でもあった。
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