アー君

モダン・タイムスのアー君のレビュー・感想・評価

モダン・タイムス(1936年製作の映画)
3.8
今回も引き続き名作シリーズである。最近話題の新作も観なければとは思いながらも、可能な限りチャップリンも観なくてはという感じで紹介できればと思う。

やはり普及の名作と言われるだけの作品であり、第2次産業革命以降の皺寄せと世界的不況が重なった時期のため、現在の社会とほとんど大差のない労働問題をチャップリンならではのタッチでコミカルに描いていた。

管理社会を予想する巨大モニターによるボスからの指示(労使の具体化)、スプーンを必要としないで勝手に口に食事が入っていくオートメーション化や、一番の名シーンであろう工員であるチャップリン自身が歯車に巻き込まれるが、人間も機械と同様に大きな仕掛けの一部としてなり下がっていく場面は、今でいうところの社畜を暗に示した資本社会に対してのブラックユーモアがところどころ描かれている。

公開された1930年代の米国は世界恐慌の真っ只中であり、国家の対策としてルーズベルト大統領がニューディール政策でテコ入れをした前後だと推測するが、自由主義経済に抑制をかけて公共事業などのインフラの再構築やそれに伴う雇用にはかなり力を入れたはずではあるが、あまり経済的な復興はみられなかったのだろうか? チャップリンなりに「モダン・タイムス」がお上に向けてのメッセージであれば、政治というのは一枚岩ではない難しい世界である。

[Prime Video/KADOKAWAチャンネル]
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