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NAGISA なぎさのmingoのレビュー・感想・評価

NAGISA なぎさ(2000年製作の映画)
4.3
ハロウィンで仮装に沸く夜の渋谷の街を逆走し、向かう先は、仮装?んなもんしねえ、男は黙ってスクリーンの前にドーン、シネフィルが集うシネマヴェーラへ。ゴズリングが「おれにもトリックオアトリートしてくれよ!w」「あい、飴ちゃん。トリックオアトリート。w」平和な映画の世界へようこそ。である。

さて、ロマンポルノの巨匠、小沼勝の集大成ナギサの鑑賞である。
「あっ、ほんとのキスじゃないよ…映画のキスだからね…」主演の松田まどかちゃんが湘南は江ノ島ガールを演じてて、愛くるしい。舞台は60年代と謳っておきながら、どこか70.80年代のような雰囲気に愛着がわく。私は湘南育ちの生粋の湘南ボーイであるがサーフィンなんてしたことがない、まさにインドアリアルひろしくんなわけなんですが、彼なりのこだわりや優しさが心地よく胸に響き渡る。好きな子のためなら時計だってなんだってあげたくなるよな〜でも女ってのは男心がわかってくんねえのな!

視点はあくまで主人公ヒロインなぎさ。少女漫画のような女の子同士の友情を描いたり、レコードプレーヤー欲しさに海の家でバイトしたり、フエラムネでピーピー喋ったり、不良に憧れてパーマかけてみたり、思春期の階段をのぼり始めたばかりの少女が持つ、あどけなさと大人らしさの揺らぎが微妙なバランスで観るものの心を奪う。

輝く夏の太陽と青い海(入り江だけは下田の撮影かな)が当時のヒット曲とあいまって、観る者を爽やかな感動で満たす。監督の円熟した感性と丁寧な映画づくりの技術が見事に融合した傑作。
何より誰の心の中にも眠っている、あの幼い頃の哀愁を含んだ懐かしさを呼び覚ます作品であったように思う。

ラストの海岸で無邪気になぎさと典子が遊ぶシーンでの「花のように」が流れる真上からのショットでもう百点満点な映画。
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