minaduki

クィーンのminadukiのレビュー・感想・評価

クィーン(2006年製作の映画)
4.2
書棚の奥にしまっておいたDVDを取り出した
ヘレンミレンの演じる女王エリザベスが好きで、何度もリピートした愛蔵版を女王の訃報を聞いて、お弔いのつもりで見返した

この映画は女王の私的な生活と心情を描き出す
重責、孤独、プライド、不安 
王宮の奥で家族にも決して全てを見せられなかっただろう心の揺れを、この映画はまるで僕が彼女の友人ですぐそばにいるかのように見せてくれる

第二次世界大戦に車輌整備兵として従軍した経験のある女王が、1人レインジローバーを駆り深い森の中に入っていく
川を渡渉する途中で車が動かなくなる
女王は慌てず車の下を覗き込みドライブシャフトが折れていることを見てとる
クルマを乗り捨てた女王が、その時遠くに見た大鹿の姿、その孤独で凛とした姿に自分を重ねて人知れず涙が流れ落ちるシーンは心に残った名シーンだ

女王は僕が生まれる前からずっと女王だった 
どこかでこのままずっと女王なのだと思えていた
畏怖と親しみ、権威と優しさ、美しさと愛らしさ

Her Majesty is a pretty nice girl

女王の魅力を僕はビートルズの歌や、ロンドン五輪の開会式や、この映画から教わった

合掌…
時代がまた一つ大きく動いた
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