エモーショナルなドリーイン・アウトとクローズアップ切り返しで緊張感が増し（あまりに何回もあるのでちょっと笑える。風景ショットに中間字幕重ねるのも）、この作品の特徴ともなっている。尺が短いのもあるけど、とにかくテンポがよい。
吉川満子の主演作品は初めて観た。だいたい中年奥様な役が多いけどここでは学生の息子を食わすために芸者をしてて、旦那（クズ）に「あんなおばあさん」と言われるが、煙草を吸う姿など仲々どうしてやつれた色気がある。
くりぃむしちゅー有田と荒川良々を足して二で割ったような息子役の磯野秋雄に対して、まあ〜水久保澄子の可愛いこと！めちゃくちゃに可愛い。小さな丸い肩に小首を傾げた上目遣いや布団から顔を出す姿はまるでお人形さん。そして自分のことより妹と吉川満子を思いやる健気さと父（クズ）の河村黎吉に無言で抵抗する強さを備えた好い役。後半は水久保澄子の独壇場となっていくが、吉川満子とのシスターフッドをもっと見せてほしかった気もする。
ちょい役でも飯田蝶子と江川宇礼雄、日守新一など松竹の常連が出ている。水久保澄子の弟役の突貫小僧もいい演技を見せてる。ワンカットだけ出てくる刑事役は笠智衆じゃないかな。ノンクレジットだけど。
