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スプリング・フィーバーのsnatchのレビュー・感想・評価

スプリング・フィーバー(2009年製作の映画)
4.1
中国映画ファンとしては、こんな作品も作られていたんだと、鑑賞後はしみじみ…🐼
でも、よく知らずに観たので最初は、かなりの性描写に、ビ、ビックリ!と同時に、97年に王家衛がアルゼンチンまで飛んで撮った「ブエノスアイレス」から十年経って、中国本土でここまで作ったのか…凄いぞ🙌なんか私は感動すら…😭と思ったら、南京で家庭用デジタルカメラでゲリラ撮影して作り上げた作品だそうです。それはもっと凄い😱出演した俳優さんたちも度胸ある。反骨の監督は「天安門の恋人たち」で5年間映画製作・上映禁止処分を受けた1965年生まれのロウ・イエ監督です。

一台しかない手持ちカメラの長回しが多い、だから、じっくり見入り感情の機微が切れることなく伝わってくる。直接的な性描写も長回しだと感情をぶつ切りにしないから自然な流れに慣れていちいち驚かなくなる😶
街の喧騒やカラオケ、鳥のこえ、風にそよぐ葉も後ろに聞こえ、どの二人のシーンも、絵に描いたように美しく愛し合う同性同士ではなく、生きていく中での一部になっている雑感な若い二人の描写で、彼らのごく普通な恋愛感情が漂っている。

2009年というと、中国経済が右肩上がりになっていく時期で、その背景をほぼ絡めずに、今でもまだまだマイノリティの彼らが、この映画では愛情に貪欲な描写がいいと思いました。「ブエノスアイレス」の原題は春の降りそそぐ光りみたいな意味で、こちらの原題は、春の風に酔う夜で、それも何やら自分のアイデンティティを隠して生きていかない、素のままの好きな人がいる彼らを見せていたので心動かされた。
あと…人を傷つけたり自分を傷つけた後に残される死ぬまで抱えていく酷さや悲しい人間になっていく有り様を容赦なく見せるこういう中国映画がやっぱり好き。

最後にやっと笑ったもう1人の女性リー・ジンは彼らを拒絶したのではない。ああやって、自分も手を握ってくれる人を探しにいったのだろうと思う。

ラスト10分の川べりのシーンからの演出には惚れた🤩記憶に残る。
もう誰といてもひとりぼっちで死んでいるのかもしれないけれど、命拾って、あの愛はかけがえのない本物だったんだっていつも感じる…それを胸に刻みつければ片隅であろうと生きていける…🌺ここ、もう一回観たいなあ…

🐼しつこいけれど、描写はR15ですので…😅
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