1991年からすでに言われていた高齢化社会。
これを全自動介護ロボットの導入による科学技術によって、乗り越えようという話。
介護ロボットや街の作画に、高い技術力を感じる。
老人の乗る介護ロボットが90年代の街並みを飲み込み、若者が右往左往する姿に、なんとも言えない気持ちになった。
老人の排泄を処理したり、お世話をしても最終的には死んでしまう介護の辛さを考えれば、主人公の女性は天使のようであり、現実離れしているように思う。
大友克洋作品の作画や発想は確かに凄いが、そこには大友によってデフォルメされたキャラのみが存在し、理想のために突っ走る。しかし、そこに葛藤と成長はない。ハリウッド脚本の教科書からは外れている。
やはりシンゴジラ的な作家ではないかと思う。人間より爆発やロボットを描きたい人。
それが許されるアニメ業界が羨ましい。
人間の温かみか?ロボットの合理性か?
5G導入当初、良く議論されていた。
それをバブル最末期に取り上げる先進性。素晴らしい。
「厚生省を舐めるなよ!!!」
このセリフが出てくるほどに、まだ日本という国家が世界で2番目くらいを走っていた時代。
ジブリ作品、OVA文化、湯浅正明、今敏、庵野秀明、押井守・・・
90年代はまさに、ジャパンアニメーション黄金時代。
手書きセルアニメーションの最高到達点と言っても過言ではない。
本作の美術には今敏さんが入っている。