しろくま

あゝひめゆりの塔のしろくまのレビュー・感想・評価

あゝひめゆりの塔(1968年製作の映画)
3.6
2022.9.05/191/GYAO
戦没者18万人以上、半数が民間人という無差別な攻撃を受けた沖縄戦。負傷兵の看護に当たったひめゆり学徒隊のうち半数以上が死亡。そのうち10名は集団自決で亡くなった。

教師になることを夢見ている沖縄師範学校の女学生与那嶺和子(吉永小百合)と比嘉トミ(和泉雅子)、彼女たちと仲良くしたい男子部の西里順一郎(浜田光夫)。運動会を楽しんだり、恋バナに盛り上がったりして、日活の青春映画って感じだったのが、敵機から攻撃を受け学校の施設が破壊され、状況は一変、予定されていた卒業式も中止に。米軍による一斉攻撃が始まり上陸を開始。彼女たちは、狂瀾怒濤の戦争の渦に巻き込まれて…。

従軍看護師として野営病院に勤める彼女たちだったが、運び込まれる負傷者の足の切断に立ち会うなど目を覆いたくなるシーンの連続。医薬品が不足し、十分な手当てができないまま死んでいく負傷者。敵が迫っているために負傷者を連れて、ひたすら南下するも、最後は…。戦争がなければ、教壇に立って、子どもたちの教育に当たっていた筈なのに、あまりにも悲しい結末。対馬丸による本土への学童疎開の悲劇も沖縄。島から出るのも島に残るのもどっちも打つ手なしって…。そんな悲惨な過去を抱えた沖縄が本土復帰してから今年で50年。朝ドラでは遺骨や遺品を遺族のもとに届ける活動をされている方を沖縄県出身の津嘉山正種さんが演じておられた。今も2500体以上が未収集のままと聞く。我々は決してあのような戦争の悲劇を繰り返してはいけない。風化させてはいけない。
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