ひろ

シェルブールの雨傘のひろのレビュー・感想・評価

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)
3.9
ジャック・ドゥミ監督・脚本によって製作された1964年のフランス映画

カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作品

戦争によって引き裂かれた男女の悲恋を描いた傑作ミュージカル映画。語りが一切無く、すべての台詞にメロディがついているという、ミュージカル映画としては珍しいタイプの作品。はじめは戸惑うと思うけど、観ていれば慣れてくるはず。

昔からハッピー・エンドより悲恋の方が名作として語り継がれるものだが、この作品も美しい悲恋物語だ。夢を語る男女が引き裂かれ、別々の道を歩む。子を宿し、安定した幸せを考える女性と戦地で恋人を想い続けた青年。ラストは語り合った夢が前振りにもなっていて、幸せな姿が切なさを際立たせている。

ジュヌヴィエーヴを演じたのは、まだデビュー間もないカトリーヌ・ドヌーヴ。今では貫禄のある大女優になっているが、世界一美しいなんて言われていた時代のカトリーヌ・ドヌーヴは、とにかくキュートだ。この映画は全部の役を歌手が吹替えしているので、ドヌーヴの歌声は聴けないけど、声と彼女の表情や動きが合っているから、全く違和感がない。

作曲家ミシェル・ルグランによる映画音楽も素晴らしいし、セットや衣装がポップで可愛らしい。「女に生まれたからにはこの映画を観なくてはならない」なんてことを言っている人もいるぐらいだし、女性はこの可愛らしく切ないミュージカル映画を観ないとだめだよね。
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