Melko

北極のナヌーのMelkoのレビュー・感想・評価

北極のナヌー(2007年製作の映画)
3.7
—2040年の夏には、北極の氷は全て溶けてなくなるかもしれない———

今日は色々あって疲れたので、何も考えずにボーッと見れるものを…とアクション映画と迷ってコッチをチョイス。
のんびりなテンポ感とゆったりナレーションで、ながら見でも全然大丈夫だったけど、中盤以降は目が離せなくなって。

ナショジオが実に15年にわたって撮影した、命の記録。

湿っぽくなりすぎないのは、クイーンラティファの軽快かつ重厚な語り口ゆえ。

真冬の北極で、命が誕生する。
北極グマのナヌーと、双子の弟
セイウチのシーラ
ナヌーとシーラは、それぞれ母親から狩りや身の守り方など、様々なことを教わり大きくなってゆく

捕食される側のシーラは、多少の危険に晒されても、群れで動くセイウチの習性のおかげで何度も命拾いする
生まれた時から子守りがいて、常に守られ大事に育てられている。さながらお嬢様のよう
一方、捕食する側のナヌー
守られ育つ時間は無常にも一瞬で過ぎ去る
温暖化のせいもあり、なかなか獲物にありつけず常に空腹。遂には、片割れである弟が餓死。このままでは共倒れになる…と、母親から追い立てられ、強引に自立の道を行くことに。生まれてからわずか2年。その苦難の道のりは、まるでおしん。

アマプラのレビューに、「生き物の物語と温暖化を一緒にしてしまうと、テーマがブレる」という意見がいくつかあった。
何を言ってるのだろうと思った。
彼らは北極に住んでいる。冬に氷があり、春に溶けて、夏は別の場所に移動する、という彼らの世界のサイクルがある。それが狂わされてる事実にまだ気づかないのか?まるっと、生き物の物語だろう。これは可愛いシロクマに癒される物語ではない。
生き物の過酷な現実と、命のサイクル、ほんの少しの奇跡を間近で見届ける話。

目が離せなくなった終盤、シーラの群れとナヌーが交錯する。ナヌーは狩りを仕掛けるも失敗。途方に暮れるナヌーは、最後の力を振り絞り、オスの北極グマのところへ。彼は、シーラの子守りをしていたセイウチを仕留めていた。分けてもらおうと近づくナヌーを、雄叫びをあげて追い払うオス。
後ずさるナヌー。でも、これが食べれなければ、本当に死んでしまう。
獲物の前に立ちはだかり動かないナヌーに観念したのか、オスは何も言わずナヌーを獲物へ促す。こんなドラマがどうして撮れたのか、凄いな、ナショジオ。

そして月日は巡り、ナヌーが生まれて8度目の冬。
ナヌーは、男女双子の赤ちゃんを産む。
きっと弟が帰ってきてくれたのだと思った。そんな奇跡ある?こうして命は続く。
続かせなくては。

温暖化……どうすればいいのだろうか…
紙のストローは本当にエコか?
エコって。?
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