スワヒリ亭こゆう

ストレイト・ストーリーのスワヒリ亭こゆうのレビュー・感想・評価

ストレイト・ストーリー(1999年製作の映画)
4.0
デヴィッド・リンチ監督のロードムービーです。
実話を基にした映画で、長年仲違いしていた兄が倒れた事を知り、目も悪く腰も悪くて車の運転も出来ないアルヴィン・ストレイトはトラクターで500km以上離れた兄に会いに行ったという話を映画化した作品です。


オープニングでスローなカメラワークから入るんですね。
映画のテンポになぞらえてカメラを静止させるのではなく敢えてスローに動かして映画のテンポを観客に意識させているのかなって思いました。
さすがはデヴィッド・リンチ監督ですね。

トラクター🚜で会いに行くんですけど、トラクターに大きな荷台をつけて何週間もかけて会いに行く。
その様はサンタクロースを思い浮かべました。
赤いジャンパーに緑のトラクター。
途中で車にはねられた鹿の角を荷台に飾ったあたりからサンタクロース説が確信に変わりましたよね。
そんなアルヴィンは旅の道中で老人ならではの経験からなる言葉で出会った人に感動や希望、知恵などの感情をプレゼントして行くんです。
様もサンタクロースと被りました。


10年以上も喧嘩別れして口もきいていない兄に会いたい。仲直りしたいからっていう思いを吐露するシーンも胸が熱くなりました。
若者に老人になって嫌な事は?と聞かれた時に「若い時のことを覚えてること」と言うんです。
これの意味が後々、判明するんです。
色んな意見があると思いますが、僕はもう老人を労りたい年頃なんでしょうね。
可哀想で同情したとともにアルヴィンが愛おしくもなりました。


若い人からしたらアルヴィンの旅は大冒険ではないけど、この映画の魅力が伝わるシンプルな物語はストレートに胸を打つし、涙が出ました。
ラストシーンも良いです。
役者の演技だけで見せたという感じがとても良かったです!