ケーティー

ウォーターボーイズのケーティーのレビュー・感想・評価

ウォーターボーイズ(2001年製作の映画)
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負け犬たちの逆転劇を描くファンタジー青春映画


シンクロを泳げるようになる課程をどう描いていたかが気になって観た。結果から言うと、この映画は(多少それぞれが練習してた描写などもあるが)、突然シンクロが踊れるようになったり、意味のないはずだったダンレボの特訓が効果を奏したりと、魔法のようにシンクロができるようになるのである。

しかし、この映画が面白いのは、そうしたある種のご都合主義が全く気にならず、むしろ、主人公たちに寄り添い応援したくなるということだ。これは、主人公たち水泳部メンバーが、学校のヒエラルキーでは負け組であることや、幾多もの困難を乗り越えていくからだろう。賢い学生なら意味がないとやらないであろう水族館のバイトも、文句をいいつつもやってのけてしまい、おばさんたちに引かれるくらい魚の名前を覚えてしまう。そんな彼らの殊勝さには誰もが好きになってしまうのである。また、この殊勝さの描写があるからこそ、具体的なシンクロの練習風景をそこまで描写しなくても納得させるものがあるのかもしれない。

こうした主人公らを好きになる応援したくなる工夫は冒頭にもあって、この映画で一番秀逸なシーンの1つがシャワーでゴキブリが出るところだと思う。
映画の冒頭、必死に泳ぎゴールしたと思ったらダントツのビリで、早く出ろと言われて主人公が項垂れてシャワーを浴びに行くと、シャワーを浴びた瞬間、足元にゴキブリが現れるのである。このシーンで、主人公を応援したくなるし、その人間的なかわいさも描けているし、観客の心を序盤でグッと掴むのである。
そうした描写の工夫がこの映画は随所に存在している。

また、構成もしっかりしており、ハリウッド映画と同じく、見事な三幕構成になっている(※)。


※三幕構成
(1)第一ターニングポイント
学校のプールが使用禁止になる
(2)ミッドポイント
水族館で初めてシンクロが泳げるようになる
(3)すべてを失って~第二ターニングポイント
火事の発生~代理会場での開催が決まるが主人公のシンクロ披露への迷いが発生

【追記】
本作の平山あやさんがめちゃくちゃかわいい。