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チェ 39歳 別れの手紙のsugar708のレビュー・感想・評価

チェ 39歳 別れの手紙(2008年製作の映画)
4.1
チェ・ゲバラは英雄なのか、それとも世界に混乱を巻き起こした男なのか。

キューバでの革命が成功したゲバラですが、理想主義的な彼は政治家としてはその手腕を振るうことが出来ず、その結果新たな闘争を求めコンゴやボリビアへと渡り歩きます。しかし、革命は思うようにいきませんでした。

彼は理想を掲げる革命家としては唯一無二の存在だったのかもしれませんが、理想と現実の狭間で折り合いをつけなければいけない政治家としてはあまりにも清廉すぎたのかもしれません。

それだけでなく、映画で描かれているボリビアでは革命家としても民衆の支持は得られらいばかりか、ゲリラ軍の兵たちの士気も低く、持病も相まって英雄の面影が次第になくなっていく姿は観ていていたたまれない気持ちになりました。

キューバ革命までの彼は理想と情熱が確かにあった。しかし、キューバの政治活動の中でその理想は叶わないことを知ったのだと思います。そして、愛し愛されたキューバにすら居場所がなくなった彼は、新たな居場所を闘争の中に見つけようとしたのかなと。

彼は何を目指し、何を信じボリビアに行ったのか。何を感じ、何を夢見て最後まで闘ったのか。そして何を思い死んでいったのか。

処刑の瞬間、映像がゲバラの視点に切り替わったとき、我々は思わずそんなことを考えさせられます。

もう真意を知るすべはありませんが、革命のカリスマとして今なお多くの人々の心の中で生き続けているチェ・ゲバラの人生の一片を観ることができた素晴らしい映画でした。

最後に全くの余談ですが、最近観た映画の題材となったキング牧師もマルコムXもチェ・ゲバラも享年39歳。しかも全員1960年代・・・ここから先は言ってはいけないのかもしれません(笑)
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