けんたろう

平成狸合戦ぽんぽこのけんたろうのネタバレレビュー・内容・結末

平成狸合戦ぽんぽこ(1994年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

金玉袋の可能性が広がるおはなし。


ぽんぽこ、ぽんぽこ。お祭り騒ぎ大好きな狸たちの、可愛いくてコミカルでユーモアたっぷりな世界。お馬鹿さんでしかし真面目な彼らの間には、温かな空気さえ漂う。
だがそう緩やかな儘では居られない。住処を奪いつづける人間たちへの、激しい反抗、鋭い反撃。化学(読んで字の如く、ばけがく。これまた面白い!)を用いる狸たちの怒りと悲しみが、ときに荒々しく、またときに美しく画を彩る。
しかし、それでも抗いきれぬ現実。その悲しい現実に圧し潰される。
けれども、そうして楽しかった日々を勝手気儘に打ち遣られながらも、なお楽しく振舞う狸たち。なんだか綻んでしまった。

もののけ姫とはまた違う文明批判。あくまでもユーモラスに。ぽんぽこ、ぽんぽこ。胸が痛みながらも、奥底のどこかなにかだけは少しばかり癒される物語であった。