Ren

三十四丁目の奇蹟/34丁目の奇蹟のRenのレビュー・感想・評価

3.5
リメイクじゃない方。人生で観た中で最古の実写クリスマス映画になった。これも観られるなんてありがとうDisney+。色褪せない面白さがあって、ちゃんと地に足着いている感じがいい。

自分はサンタだと主張するお爺さんは瞬く間に人気者となるが、精神異常の疑いをかけられ....物語は一転、法廷劇へ。クリスマス商戦のアイコンとしてのサンタクロースと、子どもの夢の象徴としてのサンタクロースのお話。

前半は、クリスを主人公として彼が人気者になっていく様子を描く。こういう問答無用で愛される人っているよな〜などと思いながら比較的和やかに。後半になると一転し、彼は被告人席へ、弁護士フレッドの奮闘を主軸にストーリーを追うことになる。主人公がじわじわ移り変わる感じが意外と面白い。この構成なら、クリス役のエドマンド・グウェンが "助演" 男優賞を受賞したのも納得。

私は「嘘」についての映画だなと思った。大人は子どもに嘘をつくなと言う一方でサンタは居るよとか嘘も吐くけど、この吐いていい嘘ってなんだろうと考えた。誰かが幸せになる嘘。それがちょっと分かる映画だった。
サンタなんて居るはずないけど、サンタの存在を否定することはつまりクリスマス業界の衰退を意味する。実は商業的側面からしても、それは子ども達の夢を壊してしまう。サンタを信じることは、何か形の無い夢とか希望的なものを信じる、みたいな話に拡張して考えられた。

ラストのぞろぞろ出てくるところはちょっと面白くもありつつ、この映画に映ることはなかった「クリスマスを楽しみにする=サンタという無形の希望を信じる子どもたち」の存在を感じられてちょっとうるっときてしまった。

THE ENDの出る直前の演出も粋でおしゃれ。クリスマス映画ならではの余韻の温かさで、これこそ奇蹟だよなぁ〜としみじみしてしまいまう。モノクロでの観賞でしたが、機会があればカラーver.も観てみたい!
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