えいがうるふ

アモーレス・ペロスのえいがうるふのレビュー・感想・評価

アモーレス・ペロス(1999年製作の映画)
4.5
メヒコ怖いよメヒコ・・・
凄まじく疾走感のある映像から始まって、観るものをぐいぐい引っ張っていく見せ方の巧みさに2時間半があっという間。
ハッピーなシーンはほとんどなくひたすら痛いやら辛いやら苦しいやらの描写が続き、挙げ句誰一人救われるわけではないが、誰もが自業自得ともいえる結果ゆえ、その容赦なくクールに人間の業を見つめる傍観視点にしびれた。

イニャリトウ監督、これが処女作だなんてとんでもない人だ。彼の作品はまだバードマンしか観ていない(しかも体調最悪時に観て途中で寝落ちしたためレビューに至らず)のだが、こりゃ他の作品も早速チェックせねば。

ところで犬の神様(?)みたいなミステリアスなおっちゃん(エミリオ・エチェバリア)の面構え及び佇まいが優勝過ぎた。ただぼさっと立ってるだけで有り余るその存在感はいったい何?? 
そんな彼が愛ゆえに起こした行動が悲劇を引き起こすとあるシーンは思わずもらい泣きしたが、しっかりかなり早い段階からの伏線回収になっていたことを思い出し、うわぁと頭を抱える気分に。

なお犬好きの人にはかなりつらいシーンが多いので要注意。フィクションと分かっていてもダメージを受けてしまう繊細な人にはとてもおすすめできない。
特典映像では賢い役者犬たちがちゃんと可愛がられていて無事と分かるらしい。是非見たい。