【1987年キネマ旬報外国映画ベストテン 第1位】
『父 パードレ・パドローネ』『塀の中のジュリアス・シーザー』のタヴィアーニ兄弟監督作品。キネ旬では2位の『プラトーン』に大差をつけて1位を獲得した。
いやー、これはすごい。映画の豊かさってこういうことだよなって思った。映画のすべてがここにはある。
イタリアで聖堂修復を生業とする父と7人の子供たち、そのうち末の2人は「黄金の腕」を持つと言われるほど優れた腕前だった。しかし不況で仕事がなくなり2人はアメリカに渡り、『イントレランス』を製作中だったD・W・グリフィスと出会う…
壮麗でありながら軽妙、抒情的な傑作。映画への賛歌であり全ての芸術への賛辞である。『父 パードレ・パドローネ』もぐうの音も出ない傑作だったがこれも素晴らしい。改めてタヴィアーニ兄弟の手腕に感服。
淀みなくストーリーを語りつつ時々挟み込まれるユーモアに笑った。グリフィスと2人の父親の邂逅シーンが素晴らしかった。芸術家同士、互いに敬意を払いながら挨拶をするところに気品を感じた。
エドナとメイベルの美しさ、大胆な音演出、計算されつくした画面設計とこの映画に欠けているところある?ってくらい完璧。
ただラストはちょっと抒情的すぎるように感じなくもない。振り返って聖堂を見るあたりで終わった方がスッキリしたのでは、と思った。ちょっと長い。