舞台は19世紀後半のデンマーク。海の見える片田舎に住む村人と、フランス人のバベットの交流を描く。目にも鮮やかなバベットが振る舞う料理の晩餐会シーンが素晴らしい。
劇中にある「ルター派」について無知だったので調べました。
キリスト教プロテスタントの一派とある。プロテスタントとカトリックの違いが分からなかったので調べてみると、プロテスタントは質素倹約で贅沢しない暮らしだという。
カトリックの国は料理が美味くて、プロテスタントの国は料理が不味いイメージがあるらしい。
牧師であった父の遺志を継ぎ、質素な暮らしを送っていた老姉妹。フランスからやって来たバベットは姉妹の召使いになり働いていたが、ある日バベットは宝くじで1万フランもの大金を当てる。
大金を手にして国に帰ると思われていたバベットは、晩餐会で料理を作らせてほしいと頼む。
「私がこれまで何かお願いしたことがありましたか?」
運び込まれるウミガメやウズラなどの食材に姉妹は恐れおののき悪夢にうなされる。何を食べさせられるか分かったもんじゃない…魔女の宴だ。
姉妹は村人と話し合い、食事を味わう事をやめ、食事の話は一切しないことを誓う。
禁欲であれ、という信仰心を持つ村人たちの前に高級フランス料理、ワイン、シャンパン、フルーツが次々と出される。
亡き牧師様の思い出話や天気の話をする村人に微かに浮かぶ笑み…。
国も人種も宗教も料理の前では関係ない。怒りも憎しみも何もかもがどうでもよくなる。全ては幸福感によって消え去っていく。
美味いもんは美味い!美味いもん食ったら誰であれ幸せになれるんだ。
1万フランの金の使い道を知った時、心が温かくなった。仕事を終え、やりきった感じで一人コーヒーを飲むバベットに拍手を送りたい。