ミチ

ヤコブへの手紙のミチのレビュー・感想・評価

ヤコブへの手紙(2009年製作の映画)
4.8
登場人物は元囚人レイラ、ヤコブ牧師、そして手紙を届ける郵便配達人、ほぼこの3人。

舞台は静かな自然の中にたたずむ廃墟のようなヤコブの家、ほぼここだけ。

セリフも少なく、説明的なものもなく、ただただ、ヤコブとレイラの姿が映し出されていく。

レイラを演じたカーリナ・ハザードさんが素晴らしかった。

失礼ながらポスターを見たときは男の人だと思っていた。

映画が始まっても風貌や態度は男っぽくて、とても怖いというか悪い雰囲気がプンプン(笑)

それこそ本当に牧師を殺してしまうんじゃないかと、見ていてハラハラしてしまうほど。

そんな彼女が終盤、自分の過去を手紙として読み始めたとき、そしてその後の表情の変化が素晴らしかった。

そして全てを包み込むようなヤコブ牧師。

本当に素晴らしい役者さんがいれば、舞台や登場人物がこんなに少なくてもいいんだ、というか少ない方がいいんだなと思った。

牧師は手紙によって沢山の人を救い、その手紙によって自分自身も救われていた。

そしてレイラも牧師に救われ、牧師もレイラに救われたのかもしれない。

ラストは悲しいけれど、人というものの愛おしさを感じた。
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