Ay

天井桟敷の人々のAyのレビュー・感想・評価

天井桟敷の人々(1945年製作の映画)
3.7
TSUTAYAへ返却するのが今日迄ではなかったかな..と震えながら帰宅中。(笑)
舞台人には“知らない”なんて言わなせない、名画中の名画です。

製作期間約3年3ヶ月。
ナチスドイツ占領下時代にフランスで製作され、ノルマンディー上陸作戦を経てパリ解放後1945年に公開された映画です。
1945年は日本が降伏した年でもありますね。

そんな激動の時代にも関わらず、政治を感じさせない約3時間、100%恋愛娯楽映画な訳です。
それだけで目頭が熱くなります。
この時代に生きた人達の“創りたいモノを創る”という欲求が伝わってくるようでした。

ストーリーは2部構成、全編当たり前ですがモノクロです。
主人公は舞台俳優、少し切なくそしてドロっとしながらも拒否反応無く純粋に楽しめます。

ストーリーが始まるまでに流れる幕画と音楽は正にこれから舞台を鑑賞する様。
喜劇であり悲劇である、オペラやバレエが好きな人に特にお勧めできます。

無言劇で喝采を浴びる主人公バチストを演じる俳優が素晴らしい。
ヒロイン役は、美しいのは間違い無いんですが、もう少し若い女優であれば嬉しかったような..
特に絶世の美女、誰もが虜になる女性なので、オードリーヘップバーン級を当てて頂けると更に感情移入できたでしょう。笑

そして、劇中には魅力的な台詞も多々あります。
“愛し合う者同士にはパリも狭い”
フゥ〜!私は個人的にドン引きですが、いやはや時代と風景と俳優達の空気でクサい台詞も芸術です。

私の様な半分廃れてる人間は、ヒロインに疑問を持ったりするところもありますが、バチストの純愛を描いた3時間は全く退屈しませんでした。
愛することは止められないんです!
(私ならラストをもっとドロドロにするけどネ。※素人)

とにかく、この映画が占領下時代に製作されたことに感銘を受け、映画の世界はとっても魅力的だと改めて思う作品でした。
Ay

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