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戦火の中へのmaverickのレビュー・感想・評価

戦火の中へ(2010年製作の映画)
3.7
2010年の韓国映画。朝鮮戦争における学徒兵の戦いを基にした戦争映画。BIGBANGのT.O.Pの映画初主演作。監督は『私の頭の中の消しゴム』のイ・ジェハン。


朝鮮戦争を題材とした韓国映画は数多いが、本作ではそれに従軍した学徒兵に焦点を当てた物語となっている。当時の状況を踏まえ、戦争の悲惨さを伝える作品性だ。戦闘シーンは迫力があり、爆破によって人や物が吹き飛ぶ様に戦慄する。韓国映画のスケールの大きさを感じさせ、その点においては申し分ない。ただ、話としてはイマイチだった。役者の演技は悪くないが、脚本と演出が安っぽいと感じてしまう。キャラクターも深みがなくて、それぞれの役割が典型的。先が見える展開だし、それでも良いと思えるだけの力強さも足りない。戦闘経験がほとんど無いのに結構戦えている印象だし、そうした見せ方も良くなかった。青春ドラマとしても、戦争ドラマとしても弱い。脚色ってやはり大事だ。

T.O.P演じる主人公は真面目な青年。その対極にいるのがクォン・サンウ演じる不良男。この構図も典型的だしベタだ。だがそれでも感動させてくれればそれで良いわけで。二人の間に熱い絆は感じなかったが、そうでなくとも同じ仲間として共闘する姿には感動があった。T.O.Pは、これが映画デビューとは思えない熱演。北の将校を演じたチャ・スンウォンも存在感があった。役者の演技には不満は無い。


北の兵士も同じ人間だと、その描写のシーンが一番印象的だった。本作をきっかけに、学徒兵が戦った事実を知ることが出来て良かった。戦争が起きればこうした悲劇がまた繰り返される。こんな悲劇は二度と起きてほしくないと、そう思わせる話であった。
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