ふっくー

サスペリア PART2/紅い深淵のふっくーのレビュー・感想・評価

サスペリア PART2/紅い深淵(1975年製作の映画)
3.8
鬼才ダリオ・アルジェントが75年に手掛けた作品。
題名が「サスペリアPART2」となっていますが、77年に作り上げる「サスペリア」より2年前に作られた作品です。
当時日本でも「サスペリア」がヒットし、(今作はサスペリアより前の作品だが、日本に入ってきたタイミングがサスペリアより後であった)それに便乗して付けられた場違いな邦題は今見ても腹立たしいですね笑。
「サスペリア」の続編は「インフェルノ」「サスペリア テルザ」からなる魔女3部作。

今作の原題は「PROFONDO ROSSO」

完全版を鑑賞。
ホラーというよりサスペンスですね。
この映画の作り初見で見るとなかなか気付かないのかも知れないですが、構成が大胆すぎるんですよね。猟奇的殺人犯を追う第一発見者のマークを主体に物語が進んでいくのですが、最初のヘルガが殺されるシーンで、真犯人がそこに映ってます。これは気付きそうで気づかないトリックで当時にしたら革新的であり、冒頭の刃物の惨殺シーンもラストの真相に関係のある構成は、ダリオアルジェントの良さが出ていて素晴らしいです。

窓ガラスの破片に突き刺さる死体、熱湯風呂でただれた顔、刃物で切り刻まれる肉体などショッキングな描写もあり、横スクロールで魅せる赤ちゃんの人形やビー玉の映像、そして劇場のシートの赤さや、血の色などを見せつつ、そのバックではうるさいくらいのゴブリンサウンドが流れる芸術的映像センスは後の「サスペリア」に活かされている場面もあり新鮮です。
唐突に迫りくるカラクリ人形が1番不気味でした。

物語は面白い構成ではあるが、所々で説明不足があったり、個人的にちょっと笑えるシーンもいくつかあったりと不思議な作品でした。
犯人の目線で忍び寄るシーンは78年公開のジョン・カーペンター監督「ハロウィン」や、80年公開のショーン・S・カニンガム監督「13日の金曜日」でも使われており、今作が与えた後のホラー映画の影響はかなり大きかったのかな。

2019年も素晴らしい作品に沢山出会えたことに感謝!2020年も最高の映画ライフを過ごせるのを楽しみ皆さま良いお年を!!!!!
ふっくー

ふっくー