むらむら

ヒートのむらむらのレビュー・感想・評価

ヒート(1995年製作の映画)
5.0
「ゴッドファーザーPART2」以来となるアル・パチーノとロバート・デ・ニーロの共演作。

3時間と長丁場だったので、3パートに分けて感想を書きます。

・前半

大胆な犯行を繰り返す犯罪チームのボスをデ・ニーロ、それを追う刑事をアル・パチーノが演じる。

デ・ニーロの強盗仲間がヴァル・キルマーとトム・サイズモアとダニー・トレホ。顔もキャラも濃すぎで胸焼けしそうになった。最初の現金輸送車襲撃の時点で、ダニー・トレホがマチェーテ持って襲ってきたら「勝てねーっ!」って絶望するよね(※本作にマチェーテは出てきません)。それくらいアベンジャーズ感あった。

立ち向かうアル・パチーノは、はぐれ者の孤独な刑事。こちらは基本的にチームを率いているように見えて、だいたい単独行動(刑事モノにありがち)。デ・ニーロたち4人組のドリームチームに負けじと、アル・パチーノは細かい顔芸で「俺こそが主役やで!」と猛烈アピール。

怒るパチーノ、憤るパチーノ、機嫌の悪いパチーノなど、様々な感情を顔で表現する。とにかく、前半の見どころの一つが、福笑いのように自由自在に動くアル・パチーノの顔芸であるのは間違いない。

あとアミダラ女王も出てくるが、ま、別にいいかな。

・中盤

この作品の代名詞にもなっている銀行強盗からの12分に及ぶ銃撃戦が最大の見どころ。

いやー、これは確かに凄い! 一連のシーンはCGなど皆無。銃声もその場で録音されたという。リハーサルは、シカゴの街角を郊外に再現。

……なんてサブ情報入れなくても、圧倒的な映像力。クリストファー・ノーランが「ダークナイト」の参考にしたというのも納得の出来。

日本版WIKIPEDIAには、嬉ションしながら銃マニアが書いたと推察される使用された銃火器の一覧が詳細に載ってるので、興味ある方はぜひ。

前後するが、銀行強盗に先んじて印象的だったのは、シブい喫茶店でデ・ニーロとアル・パチーノがお茶しながら二人だけで人生観を交わすシーン。

デ・ニーロが「刑務所には戻りたくないんだ」と、自分が犯罪者で居続けることを語り、アル・パチーノは、自分には犯罪者を追い詰める人生しかないと語る。立場の違う、二人の男が激突。

のハズが、お互い孤独であることで通じあってしまう。名シーン。どことなくラブラブな雰囲気のデ・ニーロとアル・パチーノに「Youたち、もう、付き合っちゃいなよ!」って言いたくなった。

それと、せっかく遭遇したんだから、そのあと尾行くらいしようよ、パチーノさん。

・後半

ようやく2時間超えて、あとこの作品は50分で終了。が、2時間キッカリからいきなり始まる度肝を抜かれる見どころが、アル・パチーノのマンション急襲シーン。

たった2分くらいしかないのだが、アル・パチーノたちがメチャクチャ優秀な刑事であることが分かるスピーディーな演出とカット。

何かで読んだが、このわずか2分のシーン、プロ顔負けの「完璧な急襲」のお手本らしく、リアリティに溢れてて、めっちゃ興奮する。

ちなみにこのシーンにおいてアル・パチーノに瞬殺で制圧されるのは、ハードコアミュージシャンのヘンリー・ロリンズ。

タトゥーだらけでムキムキマッチョのデカ男なため、映画出演作品は50を超えるにも関わらず、「警官1」とか「ガードマン」とか「ヘラクレス」みたいな脳筋役ばかり。基本的に、どの作品も、出てきてすぐ筋肉を自慢したかと思ったら、ボコボコにヤラれて退場。

この作品でも、わずか数秒でアル・パチーノに窓の外に放り投げられるという、ヘンリー・ロリンズの名に恥じない醜態を披露してくれて嬉しかった。ハードコア界いちの脳筋男の異名は伊達じゃないぜ!

クライマックスは、もちろんデ・ニーロとアル・パチーノの一騎打ち。これまで散々、高校生のカップルばりに急接近とスレ違いを繰り返していた二人が、多数の警官がデ・ニーロを探す中、あり得ないくらいのご都合主義で二人っきりになる。シカゴ警察総出でデ・ニーロ一味を追ってたのに、他の警官たちは何やってんだ!? サボってんの? 全員非番なの? って言いたくなるほどに無理やり二人だけの世界に突入。

とはいえ、これまで三時間、喫茶店でのイチャイチャを除いては、二人の絡みが殆どなかったので、ようやく二人の絡みが観られて大満足。ずっと乳首解禁していなかったグラビアアイドルが、ようやく解禁してくれたときのような安堵感があって、俺は満足した。

二人の絡みが短いのもいい。グラビアアイドルが乳首解禁しても、盛り上がるのはせいぜい数カットなのだ。※デ・ニーロとアル・パチーノはグラビアアイドルではありません。

鑑賞3時間を終えた俺は、知らぬ間に、鑑賞中、燃え尽きるほどヒートしていたことを実感。

とにかくこれは、男の男による男のための映画。時代が時代なら、デ・ニーロとアル・パチーノの薄い本が大量にコミケで並んでいたに違いない、女子禁制、デ・ニーロとアル・パチーノの濃厚接触な作品だと思う。この二人が共演してるNetflixの「アイリッシュマン」は未見なのだが、Netflix入りなおしたら絶対に観よう。

俺もとりあえず、ニートをヤメて、明日からサバゲーでヒートしてみたくなったぜ。
むらむら

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